翻訳者と納期

翻訳者と納期 栗村先生は講座のなかでも、翻訳の仕事の依頼を受けたら納期は絶対に守るという姿勢を繰り返し伝えています。

が、まれにせっかくトライアルに合格したのに、納期に遅れて信用を失ってしまうような翻訳者さんもいらっしゃいます。

納期は翻訳会社の都合というよりは、その先のソースクライアント(翻訳案件の依頼主)の予定に合わせたものです。

たとえば、(有)ワールド翻訳サービスの場合、日本語から英語への翻訳は

1 日本人翻訳者による英訳
2 チェッカーによるチェック
3 English Editorによるリライト
4 チェッカーとEditorとのやり取り
5 コーディネーター(もしくは品質管理者)による納品準備

という5つの工程を経て納品されます。

コーディネーターはすべての案件について(どんなに小さな案件でも)、翻訳後の工程もすべてスケジュールを組んだうえで手配を行います。

翻訳という上流の工程で日程がずれ込むとその先のすべての工程が狂ってしまうことになります。

1時間や2時間の遅れならたいしたことはない、と思ってしまうかもしれませんが、翻訳の次の工程に控えているチェッカーさんの貴重な時間を台無しにさせてしまうこともあるかもしれません。それに、大切なお客様にご迷惑をおかけしてしまうのは何より避けたい事態です。

特に急ぎの案件が増えている昨今、納期までに責任を持って納品する、という姿勢がこれまで以上に問われていると感じます。

いくらトライアルでの評価が高くても、納期に遅れることがあると、コーディネーターとの信頼関係は築けません。

約束の納期にお客様に翻訳原稿をお届けできないというのは、品質以前の問題になってしまうからです。

どうしても遅れてしまう事情がある場合には、間に合わないとわかった時点でなるべく早くコーディネーターにそのことを正直に相談しましょう。

たとえば、インフルエンザにかかってしまった、肉親が倒れた、子どもの大けが、パソコンの故障など予期せぬことが起こる可能性はだれにでもあります。 納期に余裕のある案件なら多少の延長は可能でしょうし、タイトな案件ならほかの方に作業を引き継ぐ必要があるかもしれません。

いずれにしても、最終的にソースクライアントに迷惑がかからないよう、翻訳チームの一員として翻訳の先の工程まで視野に入れておくと、少し見方が変わるかなと思います。

プロとしてお仕事を始めたらぜひ納期をきっちり守って、お客様に感謝される翻訳者さんになってほしいなと思います。