受講生からの相談「講座についていけるかどうか心配なのですが・・・」

ある受講生の方から相談がありました。

詳細を省略すると、「発展コースを受講したけれど、難易度が実践コース以上に上がると思うので、ついていけるかどうかとても不安」というご相談でした。

栗村先生からのメッセージを以下に紹介します。

ある受講生個人にあてたメッセージではあるのですが、同じようなことを感じていらっしゃる方はほかにもいると思うので、きっと参考にしていただけると思います。

栗村先生からのメッセージ

栗村先生からのメッセージを転載します。

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発展コースの受講をどうしようか悩まれているということですが、発展コースの受講にレベルは関係ありません。
実践コースまで修了された方はどなたでも受講できます。
これまでも、さまざまなレベルの方が受講されました。

確かに課題のレベルは実践コースよりもむずかしくなりますが、英語のレベルがむずかしくなるわけではありません。むずかしい英語を書く必要もありません。
ただ、内容がむずかしくなります。

ですので、英語のレベルうんぬんではなく、内容を理解するためにどれだけ調査をするかが一番大切です。
残念ながら翻訳の力は一朝一夕には伸びません。
発展コースを受講したからといって翻訳力が目に見えて向上するわけではありません。

私が発展コースで伝えたいのは、原文をどこまで読み込むか、どれだけ調査するか、そして読み込んだ原文をどう処理するか、という点です。

原文にどう向き合うか、です。
そういう意味では、●●さんのお気持ちがどの程度かで決まると思います。

お仕事が忙しくなられたということで時間がとれるかどうかも心配ですね。
提出に関しては柔軟に対応できますので、その点については柳澤さんにご相談ください。

例えば、1ヶ月に1つの課題を提出する、ということでもOKです。

ただし、締切がないと人間はなかなか自主的には取り掛かれないものなので、ある程度余裕を持った締切を設定して、それに向けて効率的に取り組むことが必要かと思います。
お仕事が忙しい期間があらかじめわかっている場合は、その期間を外して受講することも可能ですが、そうでなければ、提出頻度を下げるしかないかなと思います。

いずれにしても●●さんのやる気次第です。
むずかしい課題でもチャレンジしたい、もっと翻訳の勉強をしたい、という強い気持ちがあるかどうかだと思います。ゆっくりと考えてみてくださいね。

では次は最終課題です。最後の訳文はノーミスを目指してください。

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以上です。

いかがでしたか?
講座を受講する目的や、意義を見つめ直すきっかけにしていただけるのではないかと思ったので、ここでシェアさせていただきました。
 

プロの翻訳者さんからの応援メッセージ

プロの翻訳者からのメッセージ(辻さん:特許、医薬、バイオ翻訳者)

上記の栗村先生のメッセージを弊社のメルマガで配信したところ、弊社の創業時からお世話になっている辻さんという翻訳者さんからこんなお返事をいただきました。

 ****辻さんのメール転載****

栗村先生(から生徒さんへ)のメッセージを拝見しました。
 
素敵なメッセージですね!
質問されたこの方は、まだ翻訳の仕事をしたことはない学習段階の方でしょうか?
学習段階でも、レベルが人それぞれで、なかなか難しいところだと思いますが・・・
 
内容が難しいので、原文の調査を、といわれてもどこからどう調査したらいいのかわからないのが、学習段階の特徴でもあると思いますので、講座で具体的に調査の事例をいろいろ教えていただけるのは、本当に有意義だと思います。
 
また、原稿に問題がある場合の対処法、切り抜け方、これがまた難題ですよね。
ただ、実際に仕事になれば、やはり数多くこなして、ひとつひとつ自分でぶつかるしかないので、本当に気が遠くなります。(笑)
 
ご質問された方のご健闘を、私からも心よりお祈りしております。
なんだか上から目線?!で失礼いたしました。。。
 
また、私の方も、あらためて、翻訳には訳文作成と同じくらい調査が大事で、
調査がうまくいけば、半分はできたようなものだということを再認識させていただきました。
 
栗村先生の
「残念ながら翻訳の力は一朝一夕には伸びません。
発展コースを受講したからといって翻訳力が目に見えて向上するわけではありません。」
というお言葉は非常に含蓄がありますね。
 
もしかしたら、質問された方は、えっ、翻訳力をつけたいからこそ受講しているのに、と一瞬がっかりされたかもしれないのですが、このきびしいお言葉は、栗村先生の、受講生のみなさんに対する愛情の表れだと思います。学習段階だからこそ、この現実を覚悟しておかねばならないということですよね。
 
私自身、もう20年前に遡りますが、都内の翻訳講座に1年半通学し(1年は基礎。半年はバイオ特許)他に通信も2つやりました(ひとつは電気電子、もうひとつは医薬)。
 
当時はまだ今のようにネット検索の技術も進んでいませんでしたし、講座といえば、訳し方を習うだけで、あとは話のついでに原文がおかしいこともあるので、こういう場合は例えばこうしましょう、、、とちょっと説明がある程度だったと記憶しています。
 
ですので、調査や原文の対処は、実際に仕事が来てから自分で悪戦苦闘して考えるしかなかった、、、そういう時代でしたものね。
(特許文献については調査の方法は習いましたが、技術全般についていえば、やはり翻訳者はみんな自分で探っていると思います。)
 
ですから、今のようにネットが縦横無尽に使える環境で調査や原文対処の仕方を講座で教えていただけるなんて本当に恵まれていると思います。
 
今別のお仕事をされながら、勉強されている方はそれだけでも立派だと思います。
(私はずっと専業主婦だったので、時間は十分にありましたから。)
これからいろいろと悩むことも出てくるかもしれませんが、焦らず、頑張って下さいと受講生のみなさんにお伝え下さいませ。
 
長々と失礼しました。
 
****転載以上****

辻さんは医薬、特許、バイオの英訳をご専門にされている翻訳者さんです。
とても腕がよく、お人柄もよい方なので栗村先生同様、人気のある翻訳者さんです。
 
でも、こんな方でも昔から「優秀で頼りになる翻訳者さん」だったわけではないのだなと私も改めて感じました。
 
辻さんの目に見えないけれど、「本当に気が遠くなる」ような努力があってこそ、今があるのだなと思います。
 
辻さんは「学習中はつらいと思うので、応援している気持ちを届けたい」ともおっしゃっていました。
プロの翻訳者を目指して学習をしている方にとって少しでも励みになれば幸いです。
 
実務翻訳スクール.com 事務局 柳澤 奈津子